「原油」の値段はなぜ上下するの?仕組みと理由をわかりやすく解説!

「ガソリン代がまた上がった…」
「最近、電気代が高くてしんどい…」

毎日のニュースでよく耳にする「原油価格の高騰」や「下落」。
私たちの家計を直撃することは分かっていても、「そもそも、なぜあんなに値段が乱高下するの?」と疑問に思いませんか?

中東の戦争のせい?景気のせい?それとも円安?

この記事では、世界経済の血液とも言える「原油」の値段が動く仕組みと、裏側に隠された意外な理由を、わかりやすく解説します。

そもそも「原油」とは?

そもそも「原油」とは?

ニュースで毎日聞く「原油」ですが、実はそのままでは何の役にも立ちません。

結論から言うと、原油とは地下深くから「掘り出したままの、一切加工されていない黒くてドロドロの油」のこと。
料理に例えるなら、まださばかれていない「丸ごとの魚」や、泥がついたままの「野菜」です。

そのため、そのまま車のタンクに入れても走ることはできません。
この巨大なエネルギーの塊を、私たちが使いやすいように「切り分けた(精製した)」ものが、ガソリンや灯油です。

原油の切り分け方のイメージ

蒸発する温度

私たちが使う「油」の姿

低い

LPGの原料、ガソリンなど

中程度

灯油、軽油など

高い(残ったもの)

重油、アスファルトなど

つまり、「原油=すべての油の素」と覚えておけば、ニュースがぐっと分かりやすくなりますよ。

原油の値段はどう決まるの?基本は「需要」と「供給」

原油の値段はどう決まるの?基本は「需要」と「供給」

金融や経済の話になると難しく聞こえますが、根っこはスーパーの野菜と同じ。
「需要(買いたい人)」と「供給(売りたい人)」のシーソーゲームです。

買いたい人が多い(需要UP)=値段は上がる
冬場のストーブ需要や、世界的な好景気で工場がフル稼働する時など。

油が余っている(供給UP)=値段は下がる
世界的な不景気や、産油国が「どんどん掘って売ろう!」と油を出しすぎた時など。

まずはこの「欲しがる人が多ければ高くなる」という超・基本ルールを押さえておきましょう。

「WTI」や「北海ブレント」ってなに?

経済ニュースで「今日の原油価格は、WTIで1バレル〇〇ドルとなり……」というフレーズを聞いたことはありませんか?

実は原油は、採れる場所によってドロドロ具合や成分がバラバラです。
そのため「全部まとめていくら!」と決めることができません。

そこで、世界中で取引をするときの「価格の基準」となる代表選手がいくつか決められています。

  • WTI:アメリカ産の高品質な原油。代表的な国際指標の一つ。
  • 北海ブレント:ヨーロッパの海で採れる原油。代表的な国際指標。
  • ドバイ・オマーンの原油:中東産原油の代表的な指標。日本は中東から多く買っているため、日本の生活に直結する重要指標。

ニュースで「WTI」と出たら、「あ、アメリカの代表的な原油の値段ね」と翻訳して聞けばOKです。

実は今見ているのは「未来の値段」

ここが原油の少し特殊なところです。
ニュースで報道される原油価格は、スーパーの大根のように「今日お店に行って払う値段」ではありません。

実は、数ヶ月先の「未来の原油をいくらで買うか」という予約の値段=先物価格であることが多いです。

なぜそんな面倒なことをするのでしょうか?

原油は船で世界中に運ぶのに何週間もかかります。
もし値段が毎日コロコロ変わってしまったら、ガソリンスタンドも工場も「いくら用意すればいいか分からない!」と計画が立てられずパニックになってしまいます。

そこで、「3ヶ月後の原油を、今のうちにこの値段で買います!」と先にチケットのような形で約束をしておくのです。

つまり、私たちが毎晩ニュースで見ている原油価格の多くは、今日の値段ではなく「数ヶ月後の世界はこうなっているだろう」という、世界中の人々の「予想図」だと言えます。

なぜ高騰・暴落する?原油価格を激しく動かす「3つの要因」

原油の値段はどう決まるの?基本は「需要」と「供給」

需要と供給のバランスで決まる原油価格ですが、時として私たちの想像を超えるほど急激に高騰したり、逆に大暴落したりすることがあります。

実は、このシーソーゲームを裏で激しく揺さぶっている「3つの要因」が存在します。
ニュースを騒がせる彼らの正体を見ていきましょう。

産油国と地政学リスク

一つ目の要因は、原油を掘り出している「産油国(売る側)」の事情やトラブルです。

原油がたくさん採れる中東地域などは、歴史的に戦争やテロ、国同士の対立が起きやすい場所です。
もし「戦争で油田が燃えた!」「タンカーが通る海峡が封鎖された!」となれば、世界中に油が届かなくなるかもしれません。

この「供給がストップするかもしれない」という不安(地政学リスク)が高まるだけで、世界中はパニックになり、原油価格は一気に跳ね上がります。

また、サウジアラビアやロシアなどの主要な産油国が集まる「OPECプラス」というグループの動向も重要です。
彼らが話し合って「最近、原油が安すぎるから、みんなで少し掘る量を減らそう(減産)」と決めるだけで、意図的に供給が絞られ、価格は上がってしまうのです。

世界の景気と新技術

二つ目の要因は、私たち買い手側の「景気」と、それを覆す「テクノロジー」です。

世界中の景気が良くなれば、工場が動き、物が運ばれ、エネルギーがたくさん必要になるため原油価格は上がります。
逆に、コロナ禍のような世界的な大不況が起きると、飛行機は飛ばず工場も止まるため、原油が余って価格は暴落します。

さらに、近年では「新技術」も価格を大きく揺るがしました。
その代表がアメリカの「シェール革命」です。

今まで掘り出せなかった地中の奥深くから、新しい技術で大量の原油(シェールオイル)が採れるようになりました。
これにより、アメリカが世界トップクラスの産油国となり、価格に大きな影響力を持つようになったのです。

時代のトレンド(脱炭素)

最後の要因は、ここ数年でテーマとなっている「脱炭素」という世界的なトレンドです。
地球温暖化を防ぐため、世界は「二酸化炭素を出す化石燃料を使うのはやめて、太陽光や風力、電気自動車にシフトしよう!」という大きな目標に向かって動いています。

これは長期的には「油を使わなくなる」ことを意味するため、普通に考えれば「需要が減って原油価格は下がる」はずです。
しかし今、それとは真逆の「供給面を細らせ、価格が下がりにくくなる」という皮肉な現象が起きています。

「将来的に石油が使われなくなる」とわかっているため、投資家や石油会社が新しい油田を探すための投資を控えるようになりました。
その結果、私たちの生活が完全に脱炭素に切り替わるよりも先に、石油の「供給量」がどんどん減ってしまい、結果として価格が高止まりしてしまうのです。

このように、環境対策が進む中で物価が上がってしまう現象は「グリーンインフレーション」と呼ばれ、今や原油価格を読み解く上で欠かせないという見方もあります。
脱炭素の波は、価格を下げる圧力になる一方で、供給不足による値上がりも引き起こすという、複雑な二面性を持っているのです。

原油価格を動かす見落としがちな要因

原油価格を動かす意外な要因

原油の値段を激しく揺るがすのは、戦争や世界的な不景気といった分かりやすいニュースだけではありません。
実は、「え、そんなことまで関係あるの?」と驚くような意外な要因も、毎日の価格をコッソリと動かしています。

ここでは、知っておくとニュースの見方がツウになる「3つの隠れ要因」を見ていきましょう。

「米ドル」の価値が上がると原油価格は下がる?

経済ニュースを見ていると、為替の話と原油の話がセットで出てくることがあります。
実は、原油と「米ドル」は、シーソーのような逆の動きをしやすいという不思議な関係があります。

理由はとてもシンプルです。
世界中で取引される原油は、主に「米ドル」で支払うルールになっているからです。

もし、米ドルの価値がグンと上がったとしましょう。
すると、ドル以外の通貨を使う国にとっては原油が割高に見えやすくなり、その結果、需要が弱まり原油価格が下がりやすくなることがあります。

ちなみに、日本は原油をドルで買うため、原油そのものの値段が安くなっても、「円安」が進むと結果的にガソリン代は高くなってしまいます

実際に使わないのに売り買いする「投資マネー」の心理戦

原油を買っているのは、ガソリンスタンドや航空会社だけだと思っていませんか?
実は、市場で原油を売り買いしている人の多くは、一滴も原油を使わない「投資家(金融機関やファンド)」たちです。

彼らは、先ほどお話しした「未来の原油」をチケットのように売買し、価格の差額で儲けようとしています。
「来月は中東が危なそうだから、今のうちに原油チケットを買っておこう!」と投資家たちが一斉に動けば、実際の原油は十分に足りているのに、心理戦だけで価格が急激に吊り上がってしまうのです。

原油市場には、世界中の莫大な「投資マネー」が流れ込んでいます。
そのため、ちょっとした噂や不安だけで、価格がジェットコースターのように乱高下してしまうのが現代の原油価格の大きな特徴です。

「異常気象」も価格を押し上げる

最後に忘れてはいけないのが「お天気」です。
実は、自然の怒りも原油価格を直接的に押し上げる強烈な要因になります。

例えば、アメリカのメキシコ湾は巨大な油田や精製工場が密集している重要エリアです。
ここに超大型ハリケーンが直撃すると、工場はストップし、タンカー(船)も動けなくなります。
「アメリカから油が届かなくなる!」というパニックが起き、あっという間に価格が高騰します。

また、冬に記録的な大寒波がやってくると、暖房用の油の需要が世界中で急増して価格が跳ね上がります。

私たちの生活を直撃する異常気象は、巡り巡って私たちのガソリン代や電気代の「値上げ」という形でも襲ってくるのです。

まとめ

原油の値段が動く理由は、決して難しい金融の世界だけの話ではありません。
基本はスーパーの野菜と同じ「需要と供給のバランス」です。

原油価格の変動は、数ヶ月のタイムラグを経て、私たちのガソリン代や電気代、さらにはプラスチック製品や食品の輸送コストにまで確実に跳ね返ってきます。

今日ニュースで「原油価格が上昇しました」と聞こえたら、その裏にある要因を想像してみてください。
遠く離れた世界で起きている出来事が、明日の自分の財布にどう繋がってくるのか、きっと面白いくらいに見えてくるはずです。

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